こんにちは。経験だけは長め。失敗の数も多めのケアマネジャー、佐々木羊子です。
今日は「H番号」についてお話をしていきます。
まあ、大きい居宅ですと新人さんにいきなりH番号の利用者さんを持たせたりはしないと思うのですが、利用者さんの都合で途中からH番号になることもあります。
けっこう対応が難しいので、自分用のメモの意味もあり、まとめていきたいと思います。
この、「公費(生活保護)で全額負担する利用者」に、介護保険の10桁の被保険者番号の代わりに、Hから始まる番号が付与されるので「H番号」と呼ばれます。みなし2号、みたいに呼ぶこともあるようですね。
介護保険法の適用でないので、介護保険に基づいた契約もしない。
私のいる自治体では、福祉事務所から「ケアプラン作成依頼書」みたいなものが届きます。
被保険者証もないよ!認定の内容も、上記の依頼書に一緒に書いてあるなあ。
たとえば、50歳、脳梗塞で2号被保険者として介護保険の契約をしてサービスを利用していた方が、失職して生活保護を申請し、保護開始となると2号被→H番号にかわります。
契約をいったん終了して、福祉事務所からの依頼でプランを作成する形に切り替え。
ここら辺が難しいのですよね。
H番号の利用者さんが65歳になったときも、ずっと担当していると「契約が必要になる」という事を失念してしまったりする。
ケアプラン作成前までに、制度の理解と契約のあたりをクリアしないと面倒なのですが、
ケアプラン作成もそれなりに気を付けることがあります。続きを見ていきましょう。
だからゆったじゃん、「介護保険ふうの生活保護」って。
私たちケアマネは、ともすれば利用者さんに必要なサービスが届けばよくない?と思いがちですが、そこは大人の事情。お金の出所が大事なのです。
生活保護には「他法優先の原則」というものがある。活用できる制度を全部活用して、足りない部分を補うのが生活保護なのですね。
役所の方にケンカを売るつもりはないのですが、「とりあえず保健福祉課、障害サービスのほうでお金を出してもらって、足りない分だけ保護課で持ちますよ」という感じ。
いーじゃん、同じ役所のどこの課で出しても一緒じゃん…!
とか、そういうことは思っても口に出してはいけません。
公的制度を利用する場合、同じようなサービスを利用するときに「優先順位」があります。
介護保険は、実はだいたいのサービスより優先して使うことになっている。
たとえば、障害サービスでヘルパーを利用していても65歳を過ぎたら、介護保険の申請をして介護保険を使うのが優先。補装具の給付も、介護保険でのレンタルのほうを優先して使う、などと決まっている。
ただ、H番号に関しては費用の出所が生活保護なので「他法優先して!障害のサービスを使えるならそちらを使って、足りない部分を負担します」というスタンスになるわけ。
具体的に、サービスを調整するときの注意点は?
まず、ヘルパーさん。障害のヘルパーが利用できるならそちらが優先。
あとは補装具関係。4点つえ、歩行器、車椅子は障害の給付が受けられるかどうかを確認。
電動ベッドも身障で下肢か体幹の2級以上なら給付の対象かも。
お風呂用品の購入も「入浴補助用具」、ベストポジションバーやたちあっぷは「移動支援用具」。
デイサービスも障害のデイを利用するのが優先になる。
とにかく保護課のケースワーカーと、職場の詳しそうな先輩に確認しまくるのが良いと思うよ。
利用したいサービスが決まったら、ケアプラン作成の前にケースワーカーさんに相談したほうが間違いがないね
障害サービスの給付決定が下りるまでは、介護保険のサービスを使わせてもらえることもあるよ
※私は、途中でH番号になった利用者さんがいて、契約していた事業所が障害サービスをやっていない事業所だったために事業所変更する羽目になったことがあります。その、事業所が変わる理由をなかなか利用者さんに理解してもらえなくて、「ケアマネのせいだ」と怒られたこともありました。気づいたのが私だっただけで、そういう決まりなのだけど…本当にH番号複雑!難しい!
ちなみに、H番号の利用者さんが65歳になった時には、新たに契約が必要です。
転居して住民票を移した時と似ていて、同じ月で2人分の給付管理料が請求できる。おいしい。
(被保険者番号が違うと、国保連的には「別人」扱いになります)
しかし、契約して担当者会議してケアプラン作成するからなかなか大変。
あ、契約とか、プラン交付を忘れちゃうともっと大変なのでお忘れなく!
65歳になったらヘルパーも介護保険優先です!
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