福祉用具購入の際にケアプラン交付は必要か?

介護保険の制度

こんにちは。居宅ケアマネをしている、佐々木羊子です。
良く聞かれるので、この
「特定福祉用具を購入するときに居宅サービス計画書を新たに
交付する必要があるのか」について
ご説明していきたいと思います。

登場人物紹介。新人ケアマネのラム美。居宅2年目。すぐラクをしたがる。指導係の佐々木ようこ先輩。居宅14年目。そこそこまじめだが大志は抱いていない
福祉用具を購入する際にケアプラン交付が必要か、迷っている新人ケアマネのまんが

漫画のタイトルにもあるとおり、
既存のケースの場合ですね。はい、必要です
終わってしまった…。

と、いってもこれだけでは納得いかないと思いますので、
詳しく説明していきます。

まずは特定福祉用具購入についておさらい。

介護保険では、年間10万円まで「特定福祉用具」購入が可能です。
レンタルが基本の介護保険ですが、
ポータブルトイレや入浴補助用具など、
直接肌に触れる、レンタルではちょっと…と思われるような商品ですね。
1~3割の利用者負担で、購入が可能です。

ちなみに、たぶんだけど人気1位はシャワーチェアではないかしら。
もし、自分の親が認定受けたら
サービス使わなくてもシャワーチェアだけは買うもの。
絶対に。ところで…

なぜ、ケアプラン要/不要の議論が起こるのか

うーん。実は、居宅で契約をしていない利用者…
例えば、介護サービスを他に何にも使っていなくて、
ケアプランを作ってもいない方。

特定福祉用具だけ買いたいよ、というときにはケアプランは不要です。

申請書に必要な理由をかけば、役所の窓口も通る
ここがネックでして、ケアプランが無くても
役所の手続きを通るなら、わざわざ担当者会議を招集して
ケアプラン作成しなくても良くない?
と思ってしまうケアマネさんがいるのですね。たぶん。

通常業務として、このような場合に当然のごとく
ケアプランを作っているケアマネさんにしてみたら、
「は?居るの?そんなケアマネジャー」と思われるかもしれません。

でも、この質問…複数回聞かれたことがあるので、
迷う人は確実にいると思うのです。
迷ったうえで、福祉用具に詳しいと思われる「福祉用具専門相談員」さんに
「ケアプラン要るんすかねー」みたいに聞いてしまって、
「え、ケアプランなくっても手続きできますよ」みたいに
返答されて、
「じゃあケアプラン、要らないかー」と思ってしまうのです。恐ろしい

ケアプランが必要と思われる根拠

福祉用具購入の際に、ケアプランが必要と思われる
根拠はいくつかあるのですが…

ケアマネジャーが仕事のよりどころとする法令のひとつに
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
というものがあります。

こちらの、第13条23に「介護支援専門員は、
居宅サービス計画に特定福祉用具販売を位置付ける場合にあっては、
その利用の妥当性を検討し、当該計画に特定福祉用具販売が
必要な理由を記載しなければならない」とあります。

ええっと…日本語訳しましょうか。
ケアマネは、ケアプランに福祉用具の購入を位置づけるときには、
妥当性をちゃーんと検討して、
ケアプランの中にも必要な理由を書いとこうね☆」と言っているのです。

うーん。今現在、ケアプランを作成して担当している
利用者さんに関しては、ケアプランに位置づけないとダメそうですね。

だって、運営基準で「しなければならない」と
仰っていることをやらないって…それ、運営基準違反ですよ。たぶん。

老企にも「介護支援専門員は、居宅サービス計画に
福祉用具貸与及び特定福祉用具販売を位置付ける場合には、
サービス担当者会議を開催し、当該計画に福祉用具貸与及び
特定福祉用具販売が必要な理由を記載しなければならない。
みたいな文章があります。
このページの5~6ページを参照。

つまり、担当者会議を招集してケアプランを発行せよ、ということ。

福祉用具購入の表技(すべり止めマット)

ここまで、同じようなことの繰り返しで
「ケアプラン作れ、がんばれ」と述べてきたこの文章を
頑張って読んでいただいた皆様に、
せっかくでのでお役立ち情報!
『すべり止めマット購入』の事をお伝えして、
終わりにしたいと思います。裏技でも何でもない、ちゃんとした表技です。

福祉用具購入、入浴補助用品で購入の対象になるのは
・入浴用いす(シャワーチェア)
・浴槽用手すり
・浴槽内いす
・入浴台
・浴室内すのこ
・浴槽内すのこ

以上です。あれ?シャワーチェアの次に
人気と思われる(佐々木調べ)、すべり止めマットは?

介護保険で購入する対象ではありません。がーん。


あんなにみんな、使うのに…けっこう重要なアイテムなのに…と気落ちし、
「すべり止めマットだけは自費購入になります」
「あらあら、結構高いのね」
みたいな会話をすることになる。

そもそも、新人のケアマネさんはすべり止めマットが
給付対象外だという事に思い至っていない場合も結構ある

そこで朗報です!もし、もしも身体障害者の手帳を持っていらしたら
(手帳を持っていること自体が朗報なわけではないです、念のため)、
日常生活用具給付の対象になるかも知れません!

日常生活用具給付?なにそれ?

検索して一番上に出てきた、文京区の情報を貼っておきますね。
こちら、介護保険でなく身体障害の制度です。

あれ?身体障害と介護保険では、
介護保険が優先と習いましたよ?とか思っていませんか。

そうです。その通り。
ただ、介護保険で対象にならない部分なので、
ここだけ身体障害の給付対象になるのです。

もし、すべり止めマットも買いたいわあ…という方がいたら、

「こちら、介護保険では購入の対象にならないのですが、
身体障害者手帳をお持ちでしたら給付対象になるかもしれません。
ええっと…失礼ですが、〇〇さん、
そういった手帳の類はお持ちですか」
などと聞くことで、利用者さんの益になるかもしれない

持っていた場合は、にっこり笑ってその場にいる
福祉用具専門相談員さんに
「見積もりの作成、お願いできますか?」というのです。
あとは福祉用具専門相談員さんが手続きの説明などをしてくれます

…丸投げか。専門家に頼るって大事ですね。
(もちろん、手帳をお持ちでない方は自費購入だし、
『そんなもの持っている訳ないだろう!』と怒られる
可能性もあるので、TPOを考えてご使用ください。)

今日はここまで。ではでは。

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