こんにちは。ご来訪ありがとうございます。
今回は、みんなの大嫌いな『減算』について
説明をしていきたいと思います。
まず、先輩のみなさまが言う『減算』について、
きちんと確認しておきましょう。
ケアマネのよく使う『減算』には
『運営基準減算』と『特定事業所集中減算』があります。
新人さんがまず、押さえておきたい部分は『運営基準減算』です。
(特定事業所集中減算に関しては、
管理者や、上のほうの人が注意するところなので
多分まだ早いです。)
『決まり』の仕組み
介護保険の「法律で決まっていること」って全部が「介護保険法」に載っているわけでなくて、だいたい以下のような仕組みです。
1.法律:(国会が制定)介護保険法。
2.政令:(内閣が制定)介護保険法施行令。
3.省令:(各省が制定)介護保険法施行規則
指定介護予防サービス等の事業の人員、
設備及び運営並びに指定介護予防
サービス等に係る介護予防のための
効果的な支援の方法に関する基準。
4.告示:(各省が制定)サービス費用の額の算定に関する基準。
5.通知:(各省の担当課長名などで自治体に流す正式文書)
6.その他、事務連絡、Q&Aなど。
で、運営基準減算というのは 3.省令 でいうところの
「運営並びに…基準」とされているところ。
略して「運営基準」。
運営基準を、守っていないと減算しますよ!ということです。
「特にコレとコレに関しては守っていないと減算ですよ」
と示されています。見ていきましょう。
運営基準減算項目
・アセスメント時に居宅を訪問し、利用者及び家族に面接していない。
・居宅サービス計画の新規作成及び作成変更時に、
サービス担当者会議又はサービス担当者
に対する意見照会により、
専門的な見地からの意見を求めていない。
・居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付していない。
・モニタリングにおいて、1 月に 1 回以上
利用者の居宅を訪問して利用者に面接していない。
・1 月に 1 回以上、モニタリングの結果が記録されていない。
・更新認定・区分変更を受けた利用者に対する
居宅サービス計画の変更の必要性について、
サービス担当者会議又はサービス担当者に対する
意見照会により、専門的な見地からの意見を求めていない。
・契約時、利用者に対して必要な説明をしていない。
…これらに該当すると『減算』ですよ、というわけ。
ちなみにどの程度のペナルティなのか?
興味ありますよね。
ケアマネの報酬が30%カットされます。
初回加算などの算定もできなくなります。
あと、事業所が『特定事業所加算』という加算を
算定していた場合、減算に該当する間、
すべての利用者に対して、この『特定事業所加算』が算定できなくなります。
いやー、おおごと!ここだけは守らねば!と思いますね。
佐々木がはじめて配属された事業所は、
月の給付件数が500件以上あったと思います。
それで、特定事業所加算も算定していたの。
もし、私がミスを犯して減算を喰らった場合、
特定事業所加算300単位×500件分が吹っ飛ぶわけですよ…
1単位10円で計算してもフツーに肝が冷えますよね。
そんな訳で、どうあっても
減算だけは出さないように、
項目をひとつずつ確認していきましょう!
アセスメント時に居宅を訪問し、利用者及び家族に面接
いわゆる「アセスメント訪問」というやつですね。
まずは『居宅を訪問』の部分。
アセスメントは自宅が基本です!
初回に、病院でお会いして大まかなアセスメントを
行うことはあるけど、自宅で行うのが原則。
アセスメント項目の中にも、
自宅の環境とか入っていますしね。
自宅に行ってないのに分かるわけないでしょ?と突っ込まれそう。
初回に自宅以外の場所で面接しても、
担当者会議は自宅で行うと思うので、
自宅を訪問したタイミングで「アセスメント実施」と
するのが良いと思います。
あともうひとつ、声を大にして言いたいのですが
「面接」って書いてあります。
よく、記録に「面談」って書いてしまう
ケアマネさんを見かけるのですが…
運営基準に「面接」しろって書いてあるのだから、
せっかく自宅に行って本人と会ったなら
記録にも「面接」って書きましょうよ…と思う。
何だろう、語感が柔らかいから使われるのかなあ、「面談」。
もともと持っている資格にもよるのかも知れないけど、
私たちは「面接技術」をプロとして学んでいる。
「対人援助における相談面接技術」という単語は出てきても、
「面談技術」とは言わない。
試しに「面談技術」でググってみてほしい。
勝手に「面接」に置き換えられて候補表示されるから。
そんなわけで、専門職として「面接」して、
記録にも「面接した」と残しましょう。
居宅サービス計画作成時に、サービス担当者会議
ケアプラン作成時・変更時に
サービス担当者会議を行っていないと、減算!という話です。
ついでだから 福祉用具購入時にケアプラン交付は必要か?
も読んでみてください。
まあ、何か変更するときには
サービス担当者会議をして、
ケアプラン出しておけば間違いはない。
その月を過ぎてしまったら取り返せないからね。
(介護保険は月単位で給付をするので、
何かと「その月」を基準にした決まりが多いです)
居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付
この決まり…ここ、実はちょっと意味が分からないのですが。
担当者会議を開催したら、自動的にその場で交付しますからね。
前項がクリアできていればここは大丈夫かと思います。
とりあえず交付しましょう。
あ。当日、担当者会議に来られずに
電話照会になった事業所さんには、
後でケアプランを送っておきましょうね。
それは忘れちゃうこともあるかなあ。
モニタリングにおいて、1月に 1 回以上利用者の居宅を訪問して利用者に面接
家を訪問しろ、ということです。
訪問しましょう。
デイサービスで会ったとか、病院で会ったとか、
散歩中に偶然出会ったとかは、条件を満たしておりません。
あと、しつこいけど「面接」ね。
1 月に 1 回以上、モニタリングの結果が記録されていない。
きた!これ!
実は、書類仕事をため込んでいらっしゃるケアマネさん
というのはかなり多いのです。
その中でよく聞くやつ。
「訪問はしているんだけど、記録が溜まっちゃって…」というのがあります。
わかる。
とりあえず、訪問だけはその月のうちにしなくちゃ、
時間は巻き戻せないものね。
でも、記録も大事…。
特にモニタリング記録は、その月のうちに
(記録を)していないことが減算項目なのです。
ここ、うっかりしている人が多いのではないでしょうか…
変な話、支援経過が滞っていても(周りはすごく困るけど)、
明らかな減算項目ではないのです。
でも、モニタリング記録はたぶんアウト。
ここら辺が、現場の肌感覚と制度の違いですよね。
担当ケアマネが不在で代わりに対応するときとか、
現場では支援経過がタイムリーに入っていないことのほうが困る。
まあ、両方とも滞らずに記録されているのが一番いいのですが…
そんな訳で、忘れないでいただきたい。
遠足は、家に帰るまでが遠足。
モニタリングは、訪問して記録するまでがモニタリング。
更新認定・区分変更を受けた利用者に対する居宅サービス計画…
長いので、見出しを途中で切ってしまった。
更新時と区分変更時にはケアプラン出しましょう、
サービス担当者会議しましょう、ということです。
更新時は忘れませんよね。問題は、区分変更時。
「区分変更かけるけど、今の時点ではサービス変わらないから不要かな?」
「結果が出たら担当者会議しましょう」ではありません。
区分変更申請をかける時点で、
サービスの変更があってもなくても、
申請日からの「暫定ケアプラン」が必要です。要注意。
居宅介護支援の提供の開始に際し、利用者に対する説明(H30、R3追加)
まず、平成30(2018)年に
- 利用者は複数サービス事業所の紹介を受け
その中から自由に選択できること、またケアプランにおける
利用予定サービス事業所の位置付けについて
説明を受けることができることを伝えなかった場合(は、減算)
という項目が追加されました。その後、令和3(2021)年の制度改正でさらに
- 前6月間(※1)に居宅介護支援事業所において
作成された居宅介護サービス計画の総数のうち、
訪問介護、通所介護、福祉用具貸与、地域密着型通所介護が
それぞれ位置付けられた居宅サービス計画の数が占める割合 - 上記の居宅サービス計画について、
サービスごとの回数のうちに同一の居宅サービス事業者又は
地域密着型サービス事業者(※2)によって
提供されたものが占める割合(上位3位まで)
これらについて、説明を行うことが義務付けられました。
新規の人には契約時に説明。
既存のケースも、ケアプラン更新時に合わせて説明する。
これ、要は「公平中立な立場で事業所を紹介していますよ、
利用者さんが好きなサービスを自分で選んでいいんですよ」という事ですね。
長くなってしまいましたが、減算項目の説明はここまでです。
公平中立な立場で仕事して、
毎月利用者さんの自宅を訪問して、
その記録も月内に入れて、
何かあればサービス担当者会議して
ケアプラン出しておけばOKです!簡単!
…と説明していたら、サービス担当者会議をする必要のないような、
軽微な変更でケアプランを出しまくってしまい、
業務量が大変なことになってしまうケアマネさんもいるので…。
担当者会議をするorしないに関してだけ、
先輩や管理者さんに確認をしていくと、
現場はスムーズと思われます。
みなさま、お体に留意しつつ、
減算回避にいそしんでください。
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