区分変更をかけるときにケアマネが意識したい、大事なお金の話。

介護保険の制度

こんにちは。
区分変更という壮大なテーマを掲げてしまい、少々ビビりがちに記事を書いている、一介の居宅ケアマネジャーの佐々木です。
前回、区分変更したけど結果が変わらなかったという事を全力で避けたい、という記事で「区分変更して果たして介護度が上がるのか、見立てをする」ことについてお伝えしました。

羊子
羊子

今回は、お金の話です。お金と単位の話。

割と苦手なケアマネさんがいる気がする。でも、トラブルの元になりがちな部分なのでしっかり確認して、説明もれのないケアマネジメントを目指しましょう。

登場人物紹介。新人ケアマネのラム美。居宅2年目。すぐラクをしたがる。指導係の佐々木ようこ先輩。居宅14年目。そこそこまじめだが大志は抱いていない

区分変更時によくある失敗

あ、ではとりあえず、よくある失敗について例示してみますね。

区分変更にありがちな失敗について。えっ、思ったよりも使えるサービスが少ない。えっ、そんなにお金がかかるなんて聞いていないよ。えっ、区分変更かけたら介護度が下がったんだけど。

どれも、体験したくない話ですね。もう少し詳しく見ていきましょう。

区変したけどサービスがあまり増やせなかった


区分変更をかける場合、多くは「使えるサービス量を増やしたい」と考えていると思われます。そのことを考えたとき、一番がっかりするのが「要介護1から要介護2になる」ところなんですよね。なんていうか、利用できるサービスは月にして2,500単位くらいしか増えない。一番上がり幅が少ない。

ラム美
ラム美

何度もいうけどお金と点数の話です。

介護度なんて

重たくならないのが一番です。


まあ、特殊寝台や車椅子がレンタルできるようになるのは大きいけど、使えるサービスはあんまり増えないイメージです。なんていうか、毎日はショートステイ使えないし。(新人さんは、さくっと「要介護3になったら最悪、介護に困り果てたときに月30日のショートステイができる。要介護1や2だと毎日は利用できない…くらいに覚えておいても良いんじゃないかなあ。雑だけど。)

そう考えると、要支援1→要支援2は「デイサービスに週1回だけじゃなく、2回行けますよ!」という感じがあるし、要支援2→要介護1だと「デイサービスに2か所行けます」「ヘルパーに通院など頼める」に比べて、ちょっと変化の少ない要介護1→2。何と言っても、通所や入所など、箱物のサービスは介護度が上がると利用単位数も上がるから、そこのところを見逃さないようにね、という話です。

区変して、介護度が上がると料金も上がる

そこで2コマ目のおじいさんの発言にも繋がるのですが…「介護度が上がると利用料金も上がる」。これ、ケアマネにとっては常識ですけども、把握していない利用者さんもいらっしゃるのです。
ココ重要。見直しして介護区分があがるのも良いけど、利用料金もコレコレこんだけ上がりますよ、という説明が必要になってくるのです。
介護度を上げたい。利用者さんは今困っている。
もちろん、ケアマネジャーは区分変更申請の代行手続きができます。
助けてあげたいですよね。でも、区分変更申請をするメリット、デメリットをきちんとお話しておくことが必要です。

区分変更で、介護度が上がらずむしろ下がることもある

デメリットで一番大きいのが、最後のコマにある「区分変更をかけると、介護度が下がる可能性もある」というやつです。ほんと怖い。見込みで今まで通りのサービス使っていて、介護度が下がったら目も当てられない。でも、あるんですよほんとに。

介護認定って結構難しいプログラムなんです。全容は明らかにされていないけど「できない」のチェック項目が多いほど介護度が上がる、というものではないらしい。まあ、一次判定がどうであれ、最終的には認定審査会の判断ですしね。

詳しくない人のために補足しておくと、「認定審査会」というのは調査員のつくった「調査票」と主治医の書いた「主治医意見書」の二つをもとに、要介護認定を決めていく機関です。割と人口の少ない地域だと月1回とか、大都市だと週4回くらい開催されている印象。お医者さんや看護師さんがメンバーになっているイメージです。(正確には保健、医療、福祉に関する学識経験者によって構成されるらしい)

実際、毎回一次判定が「要支援2」だけど、「要介護1」の認定をいただいている利用者さんもいる。主治医意見書の内容などが反映されているのだろうな、と思ってはいるのですが…。

あと、主治医意見書で思い出したけど、区分変更のたびにお医者さんにこの「主治医意見書」を書いてもらう、というところもミソです。主治医の先生に何も説明していないと、特に認定結果に不服ですぐに区分変更申請をする場合など「この書類、同じものを2か月前にも書いたぞ!なんだ!」と(ケアマネが)怒られる羽目になります。前回と同じ医師に依頼するのか?医師に書いてもらえるかどうか、確認するのは利用者さんからか、ケアマネからか?ということを、区分変更を決意したときに決めておかなければいけません。

同じ医師に2回、短い期間で主治医意見書を依頼する場合は、きちんと連絡しておきましょう。

本人は整形の先生を主治医と思っているけど、認知症が進んだので介護認定を見直ししてほしい、という場合などは認知症を診てくれている先生に依頼する場合もありますよ。

まだまだ続くお金の話(認定が月をまたぐ場合)

区分変更申請を行って、その月のうちに結果が出れば一番良いのです。ただ、結果が出るのは月をまたぐことが多い。1日付けでなく、月途中で申請した場合は特に、うっかり2か月くらい請求が止まってしまうことがある。そこでどういう事が起こるかというと…

しばらく請求が止まったと思ったら、急に3か月分の請求が来たの。なにこれ。あ、区変中はいったん請求が止まるってそういえば言ってない…

はい、こーゆー事が起こってしまいますね。利用者さん、毎月請求と支払いをチェックしていると思いますか?多くの利用者さんは口座から利用料を引き落とす設定にしていますし、今月もデイサービスの料金は引き落とされているんだろうな、と考えて残りの年金をきれいに生活に充ててしまう場合もあります。請求がいったん止まる。そして、介護度が判明してからたいていは2か月分、も少し遅れると3か月分の利用料がまとめて請求になるということを、区分変更申請の段階で説明しておかなきゃならないのです。

ラム美
ラム美

お金は、取っておいてもらわないと!

区変中は請求をかけるな

最後に…急に命令口調になってごめんなさい。
いやほんとに、請求かけるな
ええと、かけないでください?
とにかくいったん区分変更をかけたら、新しい介護認定が出るまで国保連に請求はできないのです。覚えておいてほしい。

なぜ、区分変更中に請求をかけたの?えーと、10日までは要介護1なのが確定しているから、そこだけ請求しようと

国保連への請求は、月末時点の介護情報を記載します。つまり、月末時点で介護認定が出ていなければ、その月はまるっと請求できないのです!

羊子
羊子

それもあるから、ものすごく急ぐわけでなければ翌月1日付けで区分変更することが多いのよね~

区分変更を「今すぐ、月途中でかける」のか「来月の1日付けにするか」という問題、ありますよね。単に「ケアマネの事務処理がめんどくさい」「事業所の事務処理が大変」とかいうことだけでなくて、「請求が止まる期間を短くする」ことでの利用者さん側へのメリットがあるから、待てるなら次月の1日付けを選ぶのです。ひとつ前の「認定が出るまで請求が止まる」の件ですね。
もちろん、急ぐときは来月の1日を待っていてはいけません。
ほんとに、ケースバイケース。

区分変更の時に気にすること、まとめ

・区分変更の結果、どのくらいサービスを増やせるか計算してみる。
・お金の話はきちんと詰める。
・かけるタイミングに注意する。
・医師には必ず、話を通しておく。
・当然だけど、暫定ケアプランを交付する。

このくらいかな。次回は暫定ケアプランについてお話ししたいと思います。

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